[アップデート] Savings Plans を購入から7日間以内であれば返品できるようになりました(いくつか条件あり)
コンバンハ、千葉(幸)です。
Savings Plans(以下 SP)は、1年か3年の一定期間の利用をコミットすることで割引を受けられる仕組みです。EC2 インスタンスや Fargate、Lambda 関数などが対象になります。
SP の購入時には「タイプ」や「リージョン」、「コミット額」などいくつかのパラメータを指定することになります。金額も大きくなりがちなため、うっかり誤った内容で購入すると悲しいことになります。
今回のアップデートにより、購入から7日以内であれば返品(実質的な購入のキャンセル)をできるようになりました。
とはいえいくつか条件はあり、無条件に返品できるわけではないので注意してください。
このブログでは、SP の返品機能の詳細のまとめと、実際に SP の購入→返品を試してみた内容を記します。
Savings Plans の返品についてまとめ
- 原則、購入から7日間以内の SP を返品できる
- 以下の SP は返品できない
- 購入から7日間が経過している
- 購入から7日間以内であっても月(UTC基準)をまたいでいる
- 1時間あたりのコミット額が100ドルを超える
- 「アクティブ」状態でない
- 一度行った返品処理は取り消せない
- 返品を行う IAM エンティティには
savingsplans:returnSavingsPlan
アクションの許可が必要 - 返品できる回数は年単位で制限がある
- 返品までに SP でカバーされていた利用料はオンデマンド料金として発生する、もしくは別に適用可能な SP があればそちらによってカバーされる
詳細は以下ドキュメントを参照してください。
Purchasing Savings Plans - Savings Plans
Savings Plans の返品に関するクォータ
以下ページに、SP に関するクォータの記述があります。
Quotas and restrictions - AWS Cost Management
暦年(calendar year)ごとに SP の返品を行える回数が、「管理アカウントごとに10」と記載されています。
ドキュメントの以下の記述と組み合わせて考えると、「AWS Organizationsの一括請求を使用している場合は全体で10回まで」「スタンドアロンな AWS アカウントの場合は単独で10回まで」を表します。
- The limit for your consolidated billing family has been met. If you're using a single AWS account, the limit for that account has been met.
For more information about quotas, see Quotas and restrictions.
回数制限があることにご注意ください。
Savings Plans を購入してみた
返品の操作を確認するために、まずは Savigns Plans を購入してみました。
「請求とコスト管理」→「Savings Plans」→「Savings Plansの購入」と進みます。
以下を指定して「カートに追加」を押下します。
項目 | 値 |
---|---|
Savings Plans タイプ | EC2 Instance Savings Plans |
期間 | 1年間 |
リージョン | Asia Pacific (Tokyo) |
インスタンスファミリー | t3 |
時間単位のコミットメント額 | $0.001 |
支払いオプション | 全額前払い |
カートに追加する際に確認が表示されました。
Based on your usage over the last 30 days, we do not recommend purchasing an EC2 Instance Savings Plan for t3 in Asia Pacific (Tokyo). Confirm that you want to add this Savings Plan to cart or view your Savings Plans recommendations.
↑過去30日の使用実績から見て東京リージョンでt3ファミリーのSPの購入を推奨しない(使ってなさそうだけど大丈夫?)、という内容です。気にせずカートに追加します。
カートに入った内訳を確認し、「注文書の送信」を押下します。
注文が正常に送信された旨が表示されました。
購入した SP は「インベントリ」画面から確認できます。 *1
↑購入直後はステータスが「支払いの保留中」でしたが、数分も経たずに「アクティブ」になりました。
Savings Plans を返品してみた
アクティブ状態になった SP の画面では、返品用のボタンがアクティブになっています。「Return Savings Plans by ~」の表示で、返品可能な期限が読み取れます。
これを押してみます。
返品に対する確認画面が表示されます。返品処理を行った後に取り消しできない旨も書かれています。「Confirm return」を押下します。
Return by March 28, 2024 at 04:05 AM UTC
Are you sure you want to return the selected Savings Plan?
- Any spend covered by this Savings Plan will be charged at On-Demand rates or get covered by other Savings Plans, if applicable.
- Any upfront payments made toward this Savings Plan will be fully refunded.
This action cannot be reverted. 詳細はこちら
ステータスが「Pending-Return」に変更されました。
15分程度で「Returned」ステータスに遷移しました。
終了日が開始日と同じ値に変わっています。返品処理が完了しました。
請求ダッシュボードでの見え方
返品処理を行ってから3時間程度のちに請求ダッシュボードを確認してみると、SP の購入分だけが計上されていました。
今後、ここから相殺される形で計上されるのではと想像しています。改めて結果を確認し、追記します。
(2024/04/02追記)
2024/03/21に SP を購入し、月を跨いだ2024/04/02 11:36(JST)にコンソールを確認しましたが、特に上記の画像と変化はありませんでした。(マイナス分が計上されたり、購入した内訳が消えることはなかった。)
終わりに
Savings Plans で返品ができるようになった、というアップデートでした。
指定するパラメータが異なると意図した通りに SP が適用されない、ということもありますので、購入をミスした時に取り消しできるようになったのは嬉しいですね。購入前の確認はもちろんのこと、購入後も改めて内容を確認するようにすると良さそうです。
無条件に返品できるわけではない、という点にだけご注意いただき、ご活用ください。
以上、 チバユキ (@batchicchi) がお送りしました。
脚注
- 以降の画像でSavings Plan IDをマスクしてたりしていなかったりしますが、気にしないでください。 ↩